古唐津の土は、「砂目の土」といわれているが、これは川砂類が混入しているのではなく、どのような粘土を意味していると考えられているか。

古唐津の魅力・陶芸の魅力 古唐津
Charm of Old Karatsu and Ceramic Art
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古唐津の土が「砂目の土」といわれるのは、川砂類が混入しているためではなく、陶土の粒子が粗(あら)く、不均一な粘土を意味すると考えられています。

これは、古唐津が持つ力強い、粗野な持ち味や、独特の個性美を形作る根源的な要素です。

「砂目の土」とされる古唐津の胎土の具体的な特徴と製法は以下の通りです。

1. 胎土の特性と粒子の状態

  • 粒子の状態: 「砂目の土」とは、陶土の粒子が粗(あら)く不均一な粘土を指します。これは、成形に必要な粘力と可塑性を持ちながらも、粒子が均一ではない土です。
  • 製法の反映: この粗野な持ち味や個性美は、土を水簸(すいひ)せず、また細かい篩いにかけることもなく、多少の不均一な粒子の荒い土をそのまま用いることによって生まれる、古唐津陶の特徴です。
  • 鉄分の含有: 総じて、古唐津の土は鉄分のある淡褐色から濃褐色まで発色する砂目の土といえます。ただし、窯場によって鉄分の多少や粒子の荒細は異なり、例えば岸岳系はざんぐりとした荒い土味、松浦系は緻密な土味といった個性があります。
  • 焼成後の特徴: この粘土は、削り出された高台の内外に、ザラザラとしたちりめんじわのような小さなささくれ(縮緬皺)を形成します。また、17世紀の古唐津の土は水簸せず使われたため、焼成後に素地(きじ)に入っていた砂石がはじけ出す石はぜ(いしはぜ)が見られることもあります。

2. 原料採取と精製(古唐津時代)

古唐津時代(17世紀ごろまで)は、窯場ごとに土が異なっており、ほとんどが一種類の単味の土を使っていたようです。

  • 単味の使用: 当時の陶工たちは、採掘した土を水簸(すいひ)せずにそのままこねて使うことがほとんどでした。
  • 産地の土味の差: 唐津地方では一か所に大量の土があることはまれで、窯ごとに土味が異なりました。例えば、岸嶽直系の帆柱窯や皿屋窯は特に粒子の荒い砂目の土味をみせ、飯洞甕窯の土はそれより幾分細かな砂目でした。

3. 最近の研究による見解(砕いた石)

近年の研究では、古唐津の原料に関して、従来の粘土採取だけでなく、別の可能性も指摘されています。

  • 古唐津は粘土ではなく、唐津市周辺に大量にある砂岩を砕いた石を原料にしているのではないかという考えがあります。
  • この場合、水簸(すいひ)は、細かく砕いた石を水に入れ、焼き物の原料となる目の細かい良質な土(沈殿せずに水に溶けている粒子)を取り出すために行われた方法となります。
  • この土には、焼成を堅く焼き締まらせる秘密として、ガラスの原料となる長石が大量に含まれていることが分かっています。

古唐津の胎土が持つ「ざんぐり」とした個性的な肌は、主にどのような陶技の遺産とされているか。

古唐津の胎土が持つ「ざんぐり」とした個性的な肌合いは、主に朝鮮半島から伝来した陶技の遺産に由来しており、特に以下の技法や製造工程の特色が関わっています。

1. 胎土の粗さ(「砂目の土」)の維持

古唐津の土は、一般に「砂目の土」といわれ、陶土の粒子が粗く不均一な粘土を意味しています。このざんぐりとした土味は、以下のような伝統的な製法に起因します。

  • 単味の土と水簸(すいひ)の省略: 古唐津陶の胎土は、一種類の単味の地土を、水に入れて攪拌し精製する水簸(すいひ)をせず、また細かい篩いにかけることもなく、そのまま用いることによって生まれています。当時の陶工たちは、山から採取した土をそのままこねて使うことがほとんどでした(17世紀ごろまで)。
  • 粗野な持ち味の追求: この製法は、かえって古唐津陶の力強い、粗野な持味、個性美を豊蔵しているといえます。岸嶽系の帆柱窯や皿屋窯は特に粒子の荒い砂目の土味をみせています。

2. 成形・削り技法による表現

古唐津の野性的な肌や力強い高台の造り、高台脇の立ち上がりは、蹴轆轤(けろくろ)李朝系帰化陶工の異色ある陶技の遺産に他なりません。

A. 轆轤(ロクロ)成形と削り

  • 蹴轆轤の使用: 唐津陶の成形上の特徴は、蹴轆轤を用いた水引き細工です。これは朝鮮半島から伝わった技術であり、大形の水指や壷類などの成形が容易にできました。
  • 鈍重な削り道具: 胎土のざんぐりとした土味を引き出すために、削り出しの際には、堅い板金を曲げた刃のつかない丸かんな竹箆(たけへら)が用いられました。
  • 「ざんぐり」とした土味の創出: 鈍重な「丸かんな」を、まだ軟かな生乾きの土に使って削り出すと、あの「ざんぐり」とした土味が得られます。
  • 縮緬皺(ちりめんじわ): 古唐津の胎土は鉄分のある砂目の土であるため、削り出された高台の内外に、ザラザラとしたちりめんじわのような小さなささくれができるという特徴があります。この縮緬皺は、削り加減と道具の使い方によって、唐津特有の高台の持ち味として宿されています。

B. 叩き技法(主に大物)

  • 甕(かめ)や壷などの大形品の成形に用いられた叩き(たたき)技法 も、古唐津の独特の力強い個性美を生んでいます。
  • この叩き技法は、朝鮮の伝承陶技のなかで最も特徴があらわれている成形技術であり、主に甕類、壷類、瓶類などの比較的大きな「袋物」の成形に用いられました。
  • 叩き技法で器壁を薄く叩いて形づくるため、見た目より非常に軽く仕上がります。これはこの時期の古唐津の甕や壷の見極めと楽しさの一つです。

まとめ

古唐津の「ざんぐり」とした個性的な肌は、土そのものの粒子が粗い性質 を、朝鮮半島から伝来した蹴轆轤を用いた水引き細工と、丸かんなや竹箆を用いた粗野な削り出しによって意図的に引き出し、縮緬皺として具現化した陶技の遺産であるといえます。