二度焼きの目的は何か?

古唐津の魅力・陶芸の魅力 贋作
Charm of Old Karatsu and Ceramic Art
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二度焼き(再焼成)の目的について、「古唐津に魅せられて」の考察に基づきご説明します。

陶芸における二度焼き(二度窯、再焼成)は、商品価値の低い作品を再度高温で焼成することで、欠点を補修し、商品価値を高めるために行われる、半真半贋(はんしんはんがん)の技法の一つです。

二度焼きの主な目的は以下の通りです。

1. 釉の光沢回復と下絵の鮮明化

古陶磁器、特に長い間地中に埋没していた発掘品は、経年変化により表面が風化し、「ガサガサ」としたカセた状態になったり、釉面が白濁して下絵(染付けなど)が不鮮明になったり、褪色して見栄えが悪くなるのが普通です。

  • 釉を溶かし光沢を増す: このような商品価値の低くなった焼き物をもう一度窯に入れて焼成することで、釉を熔かし直し、光沢を増すことができます。
  • 下絵を蘇らせる: 釉を再度熔かすことで透明感を増し、染付けなどの下絵も鮮やかに蘇らせることが可能になります。

2. 傷や欠点の目立たなくする

二度焼きをすることで、作品についた傷やニュウ(ひび)を目立たなくさせることができます。ただし、再焼成中に傷やニュウが拡大する恐れもあります。

  • 再焼成により、釉が熔けて小さな欠け(ホツ)やニュウに流れ込むため、それらの断面が丸みを帯び、窯キズ風になります。

3. 真作に近い贋作を作る

新たな贋作を一から作るよりも、本物を素材として二度焼きを施す方が、より本物に見せることが可能になります。

  • 胎土・造形の維持: 素材となるのは本物の作品(発掘品など)であるため、胎土や土見部は本物であり、造形や釉も真作そのものであるため、真作に見せることが可能になります。

4. 後絵付けの定着

無地の陶磁器や絵が剥落した作品に、鉄絵、染付け、赤絵(色絵)などを施し、再度焼成し直すことで商品価値を高める手法(後絵の技法)があります。

  • 絵の釉中への取り込み: 後絵付け後に再焼成すると、絵付け部分が釉の中に取り込まれ、不自然さが感じられない状態になります。
  • 窯キズの補修: 焼成中に大きな割れや傷が付いた作品群や、焼き損じた発掘品など、そのままではほとんど価値がない作品も、二度焼きや補修によって商品価値を高めることができます。

その他:作業の簡易性

二度焼きは、基本的には素材と同じ温度まで加熱するだけでよく、小型の窯で焼成できるため、簡単にでき、手間も掛からないという利点があります。