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主要産地

瀬戸焼(3)【藤四郎時代】

ここでいう「藤四郎(とうしろう)時代」とは、瀬戸の陶祖と伝えられる初代・加藤藤四郎景正(かとう とうしろう かげまさ/鎌倉時代)から、四世・藤四郎政蓮(まされん/室町初期)までの期間を指します。史実としては曖昧な区間ですが、伝承は根強く、ま...
主要産地

瀬戸焼(2)【発祥から室町時代まで】

尾張(おわり)国で陶磁が営まれた起源は明確ではありませんが、『日本後紀』弘仁六年(815)正月五日の条には「造瓷器生、尾張国山田郡の人、三家人部乙麿等三人、伝え習い業を成す」と記され、また『延喜式』には尾張国の瓷器〔注:古称で陶磁器の意〕の...
主要産地

瀬戸焼(1)【総説】【地域】

【総説】瀬戸焼(せとやき)〔注:愛知県瀬戸市を中心に産する陶磁器の総称〕は、わが国の製陶業における最大級の集積地として長い歴史と旺盛な生産を誇り、「瀬戸物(せともの)〔注:陶磁器の通称〕=陶磁器」を意味するほど名が広く定着しましたが、その背...
釉薬・技法

古瀬戸の製作技術

瀬戸(せと)が中世日本で施釉〔注:器面に釉薬を施す焼成法〕の中心地となり得た第一の理由は、耐火度の高い良質の陶土に恵まれていたためです。周辺に豊富に分布する木節粘土〔注:瀬戸周辺特有の耐火粘土〕は、猿投山(さなげやま)をなす花崗岩を母岩とす...
主要産地

瀬戸・美濃(中世の施釉陶器)

古瀬戸(こせと)は、美濃(みの)と並んで中世で唯一の施釉陶器〔注:器面に釉薬をかけて仕上げる陶器〕として知られ、名古屋市の東北東約20kmに位置する瀬戸(せと)市街地を取り巻く標高100〜200mの低い丘陵帯で焼かれました。狭義の瀬戸窯(せ...
主要産地

飯坂(いいざか)・亀山(かめやま)

東北各地の経塚や遺跡から出土する黒ずんだ陶器は、かつて一括して須恵器(すえき)〔注:古墳~平安期の高火度・無釉の実用陶〕と見なされましたが、昭和後期に珠洲焼(すずやき)の実態解明が進むと、日本海側沿岸から北海道にかけて出土する多くが珠洲焼で...
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珠洲(すず)

須恵器(すえき)〔注:古墳~平安期に広く用いられた高火度の無釉灰色陶〕と見まがうほど黒々とした地肌をもつ珠洲焼は、能登半島(のとはんとう)北東端の丘陵地に営まれた中世窯で、主産地は現在の石川県珠洲市周辺です。長らく須恵器と混同されましたが、...
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越前(えちぜん)・加賀(かが)

越前古窯〔注:中世に操業した窯跡群の総称〕が北陸最大級の中世窯として広く認知されるのは戦後で、以来二十数年の調査蓄積を背景に、在地研究者の水野九右衛門(みずの・くえもん)氏の尽力によって、断片的だった知見が実見調査と出土資料の集成でつながり...
主要産地

越前(えちぜん)・珠洲(すず)

越前と珠洲は、北陸を代表する中世陶器〔注:中世に各地で量産された日用陶器の総称〕です。越前は福井県南部(越前市から丹生郡の山地)で生産された無釉の焼締陶〔注:釉薬をかけず高温で素地を緻密に焼き締めた陶器〕で、褐色の地肌に自然釉〔注:薪灰が溶...
主要産地

丹波

丹波焼(たんばやき)は畿内西部の山間で興り、焼締陶〔注:釉薬をかけず高火度で素地を緻密化させた陶器〕の中では最も明るく洗練された姿を示します。鉄分の少ない灰白の素地に高火度焼成で淡い緑の自然釉〔注:薪灰が溶けて自然に付く釉景〕が流れ、耐火度...
主要産地

備前

昭和五十二年(1977)、香川県小豆島(しょうどしま)東方沖合約六キロの「水ノ子岩」北斜面の海底から大量の古備前(こびぜん)〔注:中世期の備前焼の総称〕が発見され、わが国初の本格的な水中考古学調査で引き揚げられたことは大きな反響を呼びました...
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信楽

赤く発色した火色〔注:酸化焼成で素地が帯びる朱〜赤褐の発色〕が全面にのび、白い長石〔注:高温で溶けやすい鉱物。溶融して白斑や流れ景を生む〕が噴き出した信楽(しがらき)の壺、肩に太い箆(へら)彫りで檜垣文〔注:斜め格子を連ねた幾何文〕を刻む大...
主要産地

信楽・備前・丹波について

燃えるような赤みを帯びた肌に白く長石〔注:長石質の鉱物。溶けて流れることで景色をつくる〕が吹き出す信楽(しがらき)の壺、灰白色に締まった地に鮮やかな緑の釉〔注:溶融したガラス質の被膜。景色を生む〕が流れ落ちる丹波(たんば)の壺・甕(かめ)、...
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備前とは

備前(びぜん)は、丹波・伊賀・信楽・珠洲(すず)などと並ぶ須恵器系〔注:古代の高火度硬質土器の系譜〕の古窯で、中世以来の系譜を保ちました。焼成は酸化焔焼成〔注:窯内の酸素を多く保つ焚き方。赤~褐色発色〕が基本で、室町後期までは特殊例を除き、...
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伊賀とは

桃山初期以前の伊賀焼(いがやき)〔注:伊賀国(現・三重県西部)で焼かれた中世~近世の陶器。茶陶〔注:茶の湯で用いる器の総称〕として名高い〕は、信楽(しがらき)と区別しにくい作ぶりでしたが、桃山期以降に本格化した茶陶の伊賀は、同時代の信楽とは...
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信楽とは

信楽(しがらき)の窯場はきわめて古い歴史をもち、他の中世古窯と同様に、古墳時代から平安時代にかけては須恵器〔注:高火度で焼いた灰色の硬質土器〕やその流れを汲む陶器を、穴窯〔注:斜面に穿った単室の登り窯以前の窯〕で焼成していました。鎌倉から室...
主要産地

中津川古窯跡群―山茶碗と壺甕の分化・併走

中津川市西部の、中央本線と木曽川に挟まれた丘陵帯には東西に長く古窯が分布し、現在二十五基が確認されていますが、実数はその倍に達する可能性があります。窯構造はいずれも東海に普遍的な山茶碗窯で、製品は①山茶碗・小皿主体、②壺・甕・擂鉢主体、③両...
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遠江(とおとうみ)の古窯跡群(概観)

遠江の古窯群も尾張・美濃と同様に平安期の灰釉陶を母胎として山茶碗窯へ転化し、碗・皿を主力に一部で壺・瓶を併焼しましたが、ここでは全体像のみを示すにとどめます。要約(300–500字)遠江では平安期の灰釉陶窯を基礎に中世の山茶碗窯が広がり、基...
主要産地

兼山(かねやま)窯跡群―常滑型大形容器への特化

可児郡兼山町の木曽川に面した支谷の丘陵に営まれた兼山窯跡群は、古城山地区四基・東山地区二基の計六基が確認され、発掘済みは古城山1号窯のみで全体像はなお限定的です。製品は常滑と同系の壺・甕が主体で、山茶碗・小皿・鉢はきわめて少なく、形態・色調...
主要産地

尾張・三河外の展開―美濃(みの)須衛窯と東濃の諸窯

美濃では、各務原(かがみがはら)市から岐阜市へ続く木曽川北岸の丘陵に美濃須衛(すえ)窯が広がり、現在百三十基余の須恵器〔注:高火度焼成の灰色無釉陶〕・瓷(し)器窯が知られ、うち瓷器窯は約二十基とされます。これらは須恵器廃絶後の10世紀に尾北...
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