2025-09

主要産地

備前とは

備前(びぜん)は、丹波・伊賀・信楽・珠洲(すず)などと並ぶ須恵器系〔注:古代の高火度硬質土器の系譜〕の古窯で、中世以来の系譜を保ちました。焼成は酸化焔焼成〔注:窯内の酸素を多く保つ焚き方。赤~褐色発色〕が基本で、室町後期までは特殊例を除き、...
主要産地

伊賀とは

桃山初期以前の伊賀焼(いがやき)〔注:伊賀国(現・三重県西部)で焼かれた中世~近世の陶器。茶陶〔注:茶の湯で用いる器の総称〕として名高い〕は、信楽(しがらき)と区別しにくい作ぶりでしたが、桃山期以降に本格化した茶陶の伊賀は、同時代の信楽とは...
主要産地

信楽とは

信楽(しがらき)の窯場はきわめて古い歴史をもち、他の中世古窯と同様に、古墳時代から平安時代にかけては須恵器〔注:高火度で焼いた灰色の硬質土器〕やその流れを汲む陶器を、穴窯〔注:斜面に穿った単室の登り窯以前の窯〕で焼成していました。鎌倉から室...
主要産地

中津川古窯跡群―山茶碗と壺甕の分化・併走

中津川市西部の、中央本線と木曽川に挟まれた丘陵帯には東西に長く古窯が分布し、現在二十五基が確認されていますが、実数はその倍に達する可能性があります。窯構造はいずれも東海に普遍的な山茶碗窯で、製品は①山茶碗・小皿主体、②壺・甕・擂鉢主体、③両...
主要産地

遠江(とおとうみ)の古窯跡群(概観)

遠江の古窯群も尾張・美濃と同様に平安期の灰釉陶を母胎として山茶碗窯へ転化し、碗・皿を主力に一部で壺・瓶を併焼しましたが、ここでは全体像のみを示すにとどめます。要約(300–500字)遠江では平安期の灰釉陶窯を基礎に中世の山茶碗窯が広がり、基...
主要産地

兼山(かねやま)窯跡群―常滑型大形容器への特化

可児郡兼山町の木曽川に面した支谷の丘陵に営まれた兼山窯跡群は、古城山地区四基・東山地区二基の計六基が確認され、発掘済みは古城山1号窯のみで全体像はなお限定的です。製品は常滑と同系の壺・甕が主体で、山茶碗・小皿・鉢はきわめて少なく、形態・色調...
主要産地

尾張・三河外の展開―美濃(みの)須衛窯と東濃の諸窯

美濃では、各務原(かがみがはら)市から岐阜市へ続く木曽川北岸の丘陵に美濃須衛(すえ)窯が広がり、現在百三十基余の須恵器〔注:高火度焼成の灰色無釉陶〕・瓷(し)器窯が知られ、うち瓷器窯は約二十基とされます。これらは須恵器廃絶後の10世紀に尾北...
主要産地

猿投諸地区の性格差と東山(ひがしやま)地区の台頭

中世の山茶碗窯は、前代の灰釉陶器が及んだ範囲をこえて分布し、旧来地域だけでも古窯跡が五百六十基確認され、破壊例を含めれば全域で八百基超と推定されます。製品は碗・皿中心ですが、初期には前代系譜の広口瓶や大形短頸壺も焼かれ、擂鉢(すりばち)は厚...
主要産地

猿投(さなげ)窯の分解と「山茶碗」への転回

平安時代以来、灰釉〔注:木灰を溶剤とする透明系の釉薬〕陶器の一大生産地であった猿投(さなげ)窯は、12世紀初頭に生産圏が三つに分かれ、北方に瀬戸(せと)、南方に常滑(とこなめ)を派生させましたが、そののちも猿投本体は碗(わん)・皿(さら)を...
主要産地

猿投窯の中世以降の展開

平安時代に灰釉陶器〔注:木灰を溶剤に用いた釉薬で、飛鳥時代に登場した自然釉〕の一大生産地であった猿投窯は、12世紀初頭に分化し、北方の瀬戸、南方の常滑を生み出しました。瀬戸は灰釉・鉄釉を施した高級陶器の産地として、常滑は大型壺や甕といった日...
主要産地

渥美(あつみ)

渥美半島古窯跡群(こようせきぐん)は、瀬戸(せと)・常滑(とこなめ)と並ぶ東海地方の中世大窯業圏として本格的に認識されたのは昭和三十年代後半ですが、その存在自体は早くから知られていました。大正七年には伊良湖(いらご)で東大寺大仏殿再興の瓦窯...
主要産地

常滑(とこなめ)

中世の常滑を代表するのは、赤黒い地肌に鮮烈な緑の自然釉(しぜんゆう〔注:薪窯で灰が溶けて自然にガラス化した釉層〕)が流れ落ちる壺(つぼ)や甕(かめ)です。これらを焼いた古窯跡は常滑市を中心に知多半島(ちたはんとう)一帯に広がり、「知多半島古...
主要産地

常滑(とこなめ)・渥美(あつみ)・猿投(さなげ)

中世の代表的なやきものと言えば、まず黄緑や黒褐の釉薬を掛け、文様で飾った古瀬戸(こせと)の壺や瓶子(へいし)が思い浮かびますが、その一方で、茶褐の荒々しい肌に濃緑釉が流れ落ちる古常滑や、独特の文様で飾られた渥美の壺・甕(かめ)も同時に想起さ...
主要産地

須恵器

須恵器(すえき)は5世紀初頭、朝鮮半島から伝わった製作技術により生まれた灰色の硬質陶器で、平安時代まで約700年間にわたり、土師器(はじき)と並んで日常生活の基本的な容器として広く使われました。須恵器の登場は、大陸由来の器種を含む多彩な容器...
主要産地

土師器と黒色土器

土師器(はじき)は弥生式土器の後継であり、原始以来の酸化炎焼成〔注:酸素を多く含む窯の燃焼状態で赤褐色に焼き上がる方法〕によって作られた赤褐色〜黄褐色の素焼土器です。その転換は外来要因ではなく、古墳時代の開始という政治的要因に基づく内在的な...
主要産地

土師器と須恵器について

古代とは、統一国家の成立を土台に、欧亜各地で固有の文明が一斉に花開いた時代を指します。やきものの分野では、弥生以来の伝統を継ぐ酸化炎〔注:窯内に酸素が多い燃焼状態で、胎土中の鉄分が酸化し赤色に焼き上がる炎〕による赤い素焼きの土器に加え、還元...
スポンサーリンク